2013-03

時限爆弾

アスベストの害は2005年に尼崎の某大手機械メーカーの工場近隣で
従業員と住民の罹患と死亡が過去10年で顕著だった事で
衝撃的に知られるようになった。ごく新しい公害だが
石綿自体は昔から使用されており、国は害を知っていたのに
対策が遅れた例だ。

それこそ理科の実験道具には普通に石綿金網があったし
小学生の頃は「燃えない綿なんてすごい」と指先でつついたりしたし
小中学生の頃行った国民宿舎かどこかの廊下の天井には
ふわふわしたグレーのものがついていて、
皆で飛び上がって指先でそのふわふわをいたずらして
床に落っことしたりした。

以前住んでいた古家の壁を自分達で塗ったことがあるが
その時に、かもいの中にグレーのふわふわしたものが
砂壁の素材の中からはみ出ている部分があって、
何だろコレ断熱材?とほじくったりしたこともある。

今思えば、もしやあれは…と恐ろしくなる。
もちろんそういう物すべてに石綿が含有されていたとは
限らないし、剥離してきていなければ問題無いのだろうが、
このアスベスト被害が大きくなる迄
放置されたのには隠蔽体質と現場作業員への啓蒙不足、
対策がないがしろにされて来た事、
そして症状が出る迄長い年月がかかるという事がある。
何かと全く一緒だと思う。

阪神大震災の後、復興の現場でほんの2ヶ月かそこら働いた人が
その後発病したというケースもあり、
阪神淡路の作業でその後「将来的なアスベスト被害への懸念」を告げられ、
「時限爆弾を抱えているよう」と言う人達がいる。
また、作業員の旦那さんの仕事着を家で洗濯していた奥さんが
発病した…という、非常に毒性の強い、そして
どこまで影響が拡がるのか得体のしれない不気味さが、
アスベスト禍には、ある。

水俣病やカネミ油症の様に食物として取り込むわけではない。
しかし、排出の困難な肺へ、呼吸でごく微細な状態で
取り込んでしまう事の恐ろしさというものが、明らかになった例だ。

何より普通に建材等で使われ身の回りに溢れているものに
潜在的な危険性があった、という事実は、「明日は我が身」
という危機感を、沢山の人に抱かせる。

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京都の精華大学でマンガ学部の教授となっている竹宮恵子氏が監修し、
精華大と神戸大の学生が2年がかりで取材、作成、昨年出版された
アスベスト公害についての漫画。
どこにでも起こりうる環境リスクを放置しないためには広く情報を得る事が大事で、
賛否はあろうが漫画という形は入り込みやすいと思う。


そして今もなお、震災がれきを受入れ焼却している地域があるが、
これについてある意味放射能以上に心配だと思うのが
このアスベスト。

東京の光が丘の炉からもアスベスト繊維が検出され、
その数はうなぎのぼりに上がった。
焼却処分は、広く拡散する開放型のごみ処理方法で、
決して安全でもなければ、「高温で燃やせば無くなる」ものでもない。

そろそろ、当たり前のように行われて来た
「燃やす」(しかも大量のものを広域化で焼却する)
というあり方は、住宅が密集する日本で適正な方法なのか、
見直されてもいいのではと思う。

害があるものを、その情報を知りうる立場にいた人達が
当時何も具体的に対策をしていなかったのなら
それは犯罪に等しい。
そして、過去の公害の被害で、知っていたけど結果的に隠蔽していた
という例は山ほどあり、最たるものが原発だと思う。

少なくとも、過去のアスベストの処理は、今よりももっと
万全にしていかないと、まさに、自分達で造ってきた物に
殺されるのだと、やりきれない。
放っておけば、何も戦争などしなくても、
人間は自ら、寿命を縮めるという、珍しい動物なのかもしれない。
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裸祭り

これも、ちょっと前の新聞記事なんですが…

気になって切り抜いていたはいいけど、
この中継というのがどのようになったのか、
その後のチェックを忘れてました。

とりあえず開催前の記事だけ。
愛知の伝統行事「裸祭り」を完全中継する事に
隠すべきものが写ってしまうことへ、どう対応すべきかの
紹介記事。吊り上げられるって…そりゃ丸見えですよねえ
後ろ姿だけにするのか?うーん…

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これだけでもいろんな関係者の期待と不安が
伝わってまいります。

しかし素っ裸の状態で、ふんどし姿の群衆に
もみくちゃにされるって…恐怖。
すごいよ神男。

そういや「裸祭り」といえば、以前駅貼りのポスターに
「セクハラになる」とかよく分からん理由で
イチャモンがつけられてたというニュースの記憶があるのだけど
それは岩手の別のお祭りでした。
世界中に「奇祭」というのはいろいろあるけど
日本もなかなかやりますな。

身の回りをお任せにはできません

ジブリの宮崎駿氏が以前「自分の半径300mに関心を持つこと」
が大事なのではと何かで言っていたような記憶があるが(間違ってたらスミマセン)
実際あまりにも大きな事を問題にしても、それへ何ができるのか
という事もあって、自分の身の回りの事へ興味関心を持ち、
それをもっと良くして行きたいと思うなら具体的に動きやすいし
それが現実的なのだろう。

それは例えば落ちてるごみを拾うとか
街灯が切れてれば管轄部署に連絡するとか
不法投棄されたごみを見つけたら連絡するとか
小さい事のようだが、実際にどうにかしようと思えば
行動力もほんの少しは必要で、要は自発的にどれだけ動けるのか
という事なんじゃないかと常々思う。
そういう個々の意識が、結局はそこの環境全体を引き上げることになるし
互いのコミュニケーションも進むということだろう。

殆ど中身の無い回覧板を回すだけだったり特に何をするわけでもないのに
会費だけ集めているような、参加したくないと思える自治会の話を聞くと、
ますますそういう事への意識の必要性を感じる。
新興住宅街では自治会が無くて、若い者は困るねえというような
旧住民の反応もあったりもするが、自治会があるからといって
むしろ行政に都合のいい伝達組織あるいは使途不明な募金の集金組織に
なってしまっているのではと正直感じる事がある。
若い者はヒマも無いし先輩風を吹かしたがるジジババがいるような
自治会にはハナから入るメリットも感じる筈が無い。

そしてこういう死んだような自治会は多くの場合
土地の有力者というか、リーダー的な人が好き勝手やっていて
そんな人の意思ひとつでそこの住民の総意というふうに
もっていかれる傾向があって、とてもオソロシイ事だと感じる。

別の場所に居た頃懇意にしていた食品店のおじさんが
「小平は保守的だよ」と言っていたのが
時々「ああ、こういう事だったのか」とフラッシュバックする事がある。

その人は前職の関係で日本全国回っていたから、
180度違う事を言っていたとは思えない。

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ここ数日の異常な陽気で駅前の緋寒桜が咲き始めた。
黄砂かPM2.5かちょっと霞んでる。

しかしそんな東京都小平市で、今、自分の生活環境の保持を求めて
積極的に活動している人達がいる。
「都道小平3・3・8号線計画を考えるブログ」←クリック

都の計画で道路拡張のために、一部では立ち退きしなければならず
しかもこの計画というのが、50年も前の塩漬けだったもので
人口も高度経済成長のように増え続ける訳でもない今、
何故ここ迄広い道路を造らなければならないのか、緑を削って迄
というのは、そこから離れた地域にいる自分でも感じる事だ。

よくスケールメリットと言われるが、
これもハコモノや土建事業的に都合のいいように
説得するための言葉に成り下がっていると思う。

日本は、もう成金的にがばがば物を造れば、
安い物を大量生産売れば儲かるというような
そういうアジアの勢いの時期はとうに脱しているのだから、
老い行くEUを参考にするほうが、ムリが無いのに…と
イギリスとフランスにごく短期間旅行した時に感じた。
同じ頃、東南アジアに行き、きっと数十年前の日本なんだろう
だからあと2、30年いやもしかするとそんなにしなくても
日本は競争力が無くなって落ち着いて行くしかないだろう、と
感じていた。
実際そのとおりだった。

今さかんに騒がれているがお隣の大陸の公害なぞ、
一度でも出張に行った人なら昔から予想がついていた事で
そしておそらくはその国自身も日本の1960〜70年代のような
公害禍に将来見舞われるだろうが、経済優先だということも
わかった上で突き進んで来たのだと感じる。

起こるかもしれない負の部分には誰しも目をつぶりたい
ものなのだということは、原発事故が起こってもなお、
再稼働を求める立地自治体を見ればわかる事で
そんな日本は、だれもお隣の国を責められない。
そしてきっと、数十年後近隣の国が日本と同じ様な
あるいはもっと過酷事故を原発でやらかすかもしれない。
その可能性は、大変高いと個人的に感じる。

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さっきの桜。ソメイヨシノより色が濃いめ。

道路ひとつとっても、真っすぐで広い車道を造りたがるという事が
既に成金時代から脱していないと思う。
全国の歩道橋は使用頻度が低い中、老朽化する一方だが
車を優先して歩行者自転車にムリをさせるという考え方が
道路を通過だけのための物にさせ車からごみが捨てられ
生活者のための道路ではなくなった…と感じる。
そういう所から余裕がなくなり殺伐とした景観になって
そうなると犯罪が増える。

犯罪者に実際調査をすると、花が植えてあって
人がゆっくり歩けるような、そんな街というのは
「居心地が悪い」と感じるという。

一度ごみが捨てられた場所にはどんどんごみが集まるが、
そうさせまいと努力している姿勢が見える地域というのは、
どんどんいい環境になるということなんだろう。

これは別に花壇つくって花いっぱい運動をすればいいのではなく
そこに生活する人達がどれだけ自分の意志で、
どうすればいい環境になるのか考えて行くことの結果が
いい方向になるという事だと思う。

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この3日で急に姿を見せた雑草。それまで土色だった所がすっかり緑に…

「保守的」といわれる小平で、「他の地域ではもう工事済んでいるんだから」
「小平だけ工事しないっていうのも」という事ではなく、
そして単なる反対ということでもなく、住民の意思を政治にどう
反映させていくのか、という単純だが根本的な問いかけを
そこに住む普通の人達がし続けているという事は、
造られるものは違っても同様の「政治主導」の問題に
直面している人にとって、多いに参考になる話だと、感じている。

※この都道の道路計画について是非を問う住民投票条例案が可決されたそうで
非常にレアなケースのようです。
投票結果の法的拘束力は無くとも、今春選挙の市長へ住民が突きつけた
意義は、大変高いものがあるのでは…
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「まだ」でも「もう」でもない日

3/11が今年もまたやってきた。

福島の事への反省も補償もできないまま
事故の責任もうやむやにして
再稼働や憲法改正へ声高にポーズを
つけたがる3世議員の首相に
私は何も期待していないし選挙が違憲といわれても
その憲法を改正するというのはどういうことか、
理解不能だ。

「老人が戦争を起こし、若者が死ぬ」
というのは、いつの時代もどこでも変わらない。
そんな若者も年をとれば老人になるわけだが、
こういう老人に、若者特有の憂国とか血気というのがうまく利用されると
ろくな事にならないのは、ほんの70年前に日本人が経験した事の筈。

政治家になっている人達というのは多少若くても
その人本人が戦地へ行く訳ではないから、
そんな人の言う事まともに受けて自分の子供が戦地へ行かねばならないような
そんな事態にならないように、今お子さんをお持ちの方やこれから家庭を
持つ世代の方々は、よくよく政治家が誰のために何をしているのか
を監視していかないと、危ういと思ってます。

<地震の後には戦争がやってくる。軍隊を持ちたい政治家が
TVででかい事を言い始めてる。国民をバカにして戦争にかり立てる。
自分は安全なところで偉そうにしてるだけ>

故忌野清志郎が阪神淡路の震災の数年後に書いた本の中の「没原稿その2」
で、その後単行本化された際収録されている。

…今と、恐ろしい程の合致。

昨年の記事なのだが、今ひたひたと迫って来ている
不安と、それを回避するための希望を語られている
この文章を紹介したいと思います。

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困ったおっさんの口説き文句

ちょっと前の新聞記事ですが。
なんか最後のピカソの口説き文句がオカシイ。

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マリーテレーズといえば、ピカソの描いた女性達の中で
ピンクの肌に金髪、端麗な美貌(あのキュビズムでも)
ですぐこの人がモデルなんだろうなとわかる女性だ。

ピカソは多作な作家だったがそれにふさわしく
いろいろと好奇心の強い、活力に満ちた人だったようで
そこらへんは沢山の資料もあると思うからここで言う事でもないが
女性へのアプローチが積極的だったのも良く知られている。

最初の奥さんとうまくいかなくなってから
このマリーテレーズとさっさと結婚したかったようだが
離婚にともなう財産分与を考え、奥さんが死ぬ迄離婚はせず
そのかわり愛人をとっかえひっかえし、複数の女性と子供をもうけている。
しかも結局子供ももうけたマリーテレーズとは結婚せず
その後も数々の女性と関係を持つ。
2回目に結婚した女性と、このマリーテレーズはピカソの死後
自殺している。
どうしようもなく困ったヒヒ爺といえばそれ迄だが、
記事にある口説き文句も唐突すぎて、この「何いっとんじゃ」
なところに惹かれる女性もいるということか。

しかし、数十年前に朝日新聞の連載で見た、ピカソの
マリーテレーズへの口説き文句は確かもっとソフトで
「お嬢さん、君は魅力的な顔(横顔?)をしているね
君の絵を描きたいな。私はピカソです」

…というような表現だったと記憶しているのですが…

「私はピカソ」というのだけ一致している。
強い自己顕示欲のある自信家だったんだろうなあ
まあそうでなきゃ絵描きなんてやらないよな

ラテン男性のピカソのこの口説き文句を今の時代
日本で使えば「おまわりさん早くこっちです」になるんだろう。
まあでも、今の男子は草食系とか言いますが
決して芯迄草食ってワケじゃないだろうと
あんまり心配しなくていいんじゃないかと思ってます個人的には。

鶯色と鳥の呼吸

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玉川上水沿いのマユミが、この辺りの木では芽吹くのが一番早い。

夕方の暗さが日一日と明るくなり
それまでは真っ暗だった5時過ぎがもうすっかり明るいと
帰途気持ちもラクになる今日この頃なのだが、
春だと思うのは雑草の芽吹きとウグイスの声が決定的。

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霜よけに室内に入れた鉢にスミレが開花〜

今年のウグイスの初鳴きは
2月の20日過ぎた頃で、わりと早かった。
さえずりというよりは「ツイート」というのが
ふさわしいと思える、幻聴かもしれないというくらいの
ひそかな小さい音だった。

当然、「ホーホケキョ」ではなく「ケキョ」、あるいは
「……ポキョ…」「ピキポキョケヒョ…」
というような、なにかの間違いのようなわけわからん呪文のような
不明瞭なつぶやきが最初で、
自衛隊のヘリや西武線の走行音の合間の、
針が落ちてもわかるくらいの静寂の中で
よくよく耳をすませないと、聞き取ることは難しい。
秋も深まった頃に昼間枯れ草の中からする、
死にかけの虫の声のようなか細い声なのだ。

だから最初のほうはもしかすると聞き間違いかもと思っていたが
その声が3日に一度から2日に一度、だんだんと明瞭になって
その1週間後には「ケキョ」とはっきり鳴くようになった。

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芽吹いて来ました。

そしてこのところ、毎日朝おそらくは我が家の庭先あたりで
鳴いているようで、ホーホケキョで起こされる日もある。

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奥のケヤキはまだまだ寒そう。

今朝などは、朝のお散歩のおじさんおばさんが皆一様に
我が家の前で声の主をきょろきょろ探している姿を
家の中から「ふふふ、どこにいるかわかるまい」と
忍者の手下を持つ黒幕のような気持ちで眺めていたのだった。

この、「ホーホケキョ」も練習して上達していくのが面白いのだが
「ホー」が吸気で「ホケキョ」が呼気だというのを、最近新聞記事で読んだ。
しかし、鶯に詳しそうなとある会の方によると
「ホーホケキョ」までが吸気でケキョケキョが呼気だという。
なんだかわからないが、「鳥の呼吸」という、普段意識しない
事に気付かされて興味深かった。


スピーカーで、ひょうたんを使ったものがある。
あれで聴いた事のある方ならお分かりだと思うが
ひょうたんスピーカーからの音は、方向がわからない。
ひょうたんのあの形がいいのか材質がいいのか
オーディオマニアでも何でもないので知らないが、
こういう、どこから聞こえているのか、一極からだと
感じにくいのは無指向性とかいうらしいが
ウグイスの声はそんな感じがする。

1439~01
芽吹くのはまだだけど、芽が目立つのがマユミよりも早いのがこの楓。
1月からもう枝の先の芽がそれとわかる。


広範囲に聞こえる声だけど出所がわかりにくい。
そして、実際その出所の鳥本体は、大変地味だ。

我が家の庭先にある木は隠れるのに都合がいいのか
よく鳥がやってくる。ウグイスがその中で
鳴いているのをこっそり観察した事があるが
相思鳥やメジロのような特徴が無く、地味めな
色なので目立たない。
より小さくても目立つメジロのきれいな緑に比べると
緑というよりむしろ茶色が強いくらいな個体もあって
緑の中にいてもわからないこれこそ迷彩色なんだろうと思う。

「ウグイス色」という言葉から連想する色味は
個人によって相当の色幅があるという。
これは勝手な想像だが、メジロの色、
「ウグイス」餅の色との誤解と、
春先に来る鳥ということで抱く勝手なイメージが
実物よりもウグイスを緑みの強い、または
淡くきれいなグリーンにまで幅広い色の解釈を
呼んでしまっているのではないだろうか。

もちろん、メジロの色も個体差があるし
シジュウカラの羽の色も青みが強いものや
緑みが強いもの、いろいろあるが
「鶯色」として規定されている色見本を複数見れば、
昔の人の観察眼の方が正しかったと思う。

「鶯色」は昔の人が間違えたという説まで
ネットでは流れているというが鶯の色を知らない人の
おかしなイチャモンでしかない。
こういう間違った情報も、多数になると主流になるのが
ネットの怖いところだが、そのくらいウグイス本体を見つけるのは
難しいという事なんだろう。

今はビノキュラーやカメラは昔とは比べ物にならない程
コンパクトで性能もいいのだし、山奥からの声ではムリだけど
開けた場所でなら頑張れば声の主の姿を探す事はできる。
ウォーキング中のおばさん達も、あと2.3分頑張れば見れたのにな〜
と、木の中で鳴いている姿を見ながら思ったのでした。

icyo.jpg
イチョウの芽吹きは当分先です。



究極の尻拭かず

ドアを開けっ放しにしていったり
なんでもそのままにして他人に後を任せるような
人のことを「尻拭かず」と出身地では言っていて、
子供の頃片付けが苦手だった自分もそうだったわけだが
現政権も相当の尻拭かずのようだ。

2030年までに原発ゼロという前政権のお題目も
「ゼロベースで」という曖昧なものに変化し、
2/28の施政方針演説でははっきりと、
「安全が確認された原発は再稼働する」と首相は発言した。

今迄だって、3重だか5重だかの壁があるから安全だと、
ソ連のチェルノブイリの方式とも違うし絶対大丈夫、と
言って稼働してきて、フクイチがああなったのではなかったのか。

いまだに、「あれほどの地震では問題なくて津波での
被害だったし、フクイチだけだったんだから大丈夫」
という人がいるようだが、津波以前に地震で何か不都合が
既に起きていたという当時の作業員の話があったり、
いろいろ偽って内部の検証をさせないようにしていた事も
次から次へ後から出て来て、どこまで津波だけでのダメージだったのか
誰にもはっきりとした事は言えないのではないかと思う。

それに、茨城の東海第二原発も実のところ危なかった、
というのも後になって報じられた事だ。
地震で停電になり、非常用ディーゼル発電機が稼働したが
その後の津波で、3台の発電機のうち1台と、
冷却用の非常用ポンプ3台のうち1台がダメになった。

冷却が不十分になったのを、必死で残りの2台でしのぎ、
なんとか50時間ちょっとで外部電源が復旧した…

という冷や汗ものの話は、あまりにも伝わっていないと感じる。

外部電源の復旧がもっと遅れたら…あるいは、津波での浸水が
あと1M高かったら、外側にあったポンプは全部ダメになって
フクイチと同様の事態になっていた可能性があったというのだが
こんなギリギリの危機一発状態だった事さえ、
もう忘れろと言わんばかりに「世界一」を繰り返す首相は
あまりにもめでたい方向ばかり向いているとしか言えない。

ss.jpg

トップの方々というのは、いかに納税者をその気にさせるかという
派手なアジテーションに走りがちだが
そういうのに、生活感のある人は踊らされてはいけないし
忘れてはいけない事が、今もなお現在進行形だ。

例えば事故後フクイチで働いた作業員21000人の
被ばく線量の記録を2年経とうとしている今でも、
データを管理する「放射線影響協会」に未提出だった…
という事も、つい先日判明した事。
しかも電力会社からのデータ提出はそもそも法的義務が
無く業界の自主ルールという事自体、おかしいし
この公益財団法人の協会の権限もいかにも低そう。
単に記録を保持するだけの団体ならいらんだろという気がする。

それと、フクイチのすぐ近くの港湾内で採った
アイナメから魚類で過去最高値の
51万ベクレル/キロのセシウムが
つい先頃検出された、と東電が2/28に発表した。
今の国の食品の基準が魚は100ベクレル/キロだから
5100倍の値というわけだ。

他にもムラソイという魚から27万ベクレル/キロ

フクイチの港湾口には水深10mの海底から2mの網を設けて、
汚染土とその付近の魚の湾外への流出をしにくくしているとかで
そこにいる魚は駆除しており、今回検出されたのも
そういう魚だったという。

つまりこれが魚屋の店先に並ぶことは無い、と言いたいのだろうけど
たった2Mの網なんてスイスイ泳いで移動しないのか?
船の通行のために網を今より高くはできないらしいのだが
2mの網というのは何かとても心細い。
根っこを張ってそこに居着く種類のものならともかく、
相手は動物。今後もこの罪の無いお魚達はせっせと駆除される
運命という。

ここではセシウムしか書いてないが、ストロンチウムも
相当量含まれているのだろう。
骨に付着するストロンチウムは、内部被曝の場合
セシウムよりもっと危険と指摘されているし
小さな魚は骨ごと食べる事もあるし、充分に注意が必要だと思う。

フクイチの側からはこれだけの汚染された物質が出ている、
そして生物濃縮が進むだろう。
作業員への待遇改善はなかなか進まないし、電力会社は
いつまでたっても責任をとらないという事が、この2つの事例
だけでも簡単に想像がつく事だと思うのだが。

(…とここまで書いて来たら、フクイチの作業員の中に
放射線管理手帳に書かれた値よりも高い線量を
実際は被ばくしていた人達が少なくとも63人いた、
というニュースが)

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近所の畑の中に丸く残してある植栽。お茶かなあ

こういう、後からポツポツ出て来る事実を、
タレントのニュースや領土問題で隠れそうな記事を、
政治家を選ぶ立場の人間は、絶対に
忘れてはいけないし、これを隠そうとする人を
信用してはいけないと思う。

津波で浸水はしたけど地震で損傷していなければ
いいとばかり
(だいたい原発は海の側に造るのだから
その論法はそもそも変だと思うのだが)

地震列島に54基もの原発を無節操に造り
地方を交付金で縛って、
事故の責任すらいまだに誰もとっていない、こんな事を
まるで忘れて「皆で世界一の強い国にしましょう」
なんて言いたそうな人に同意するほど、
そこまでパンピーはおめでたくはないんじゃないの?

なにかあってもスイスの銀行に預金があったり
海外にシェルター付きの別荘がある一部の金持ちとは違うのだから。

再稼働するならまずフクイチの責任をとって
核廃棄物処理問題に片がついてからだろうと。
お尻を拭けない人が何言ってもむなしいだけ。





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プロフィール

くろけろ

Author:くろけろ
ケロをこよなく愛する玉川上水ほとりの住人です。
庭をヒキガエル様の根城にしていただきたいけど
目下果たせず。

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