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2017-08

1回生きれば充分 - 2010.11.10 Wed

「前世」がどうこう、と言われる事に格別興味はない。
「あなたの前世はこうだった、だから今こうです」なんて
つなげられるとさらにうさん臭い。

ただでさえ人間としての修業が足りてない自分、
もし前世があったとすれば多分ヒトではなく、
どこか暖かい海のあるとこで果物沢山たべてた動物か
カエルぱくついてたヘビか何かだったのだろう。
そして、それで結構。
来世がどうなる、もどうでもいい。


「100万回生きたねこ」の作者、佐野洋子さんが
11月5日、お亡くなりになった。

この絵本が代表作として知られているが、
絵本の作者がどんな人かは読んでる子供には
分からないし興味も無いので、気にもしなかったが
その後エッセイ本を読んで、「ああ、あの絵本の作者か」
と気付いた。

ミニスカで(時代だ…)子供を幼稚園へ連れて行く事に
ひそひそ言ったまわりの親へは「正義の人ってきらいです」
とばっさりと書き、
だんなさんと離婚することになったくだりには
「だから私はゴミとともに夫を家から出した」
これには笑った。

ものを描いたり作る「作家」は、どこか浮世離れしてたり
ちょっと違ってるというふうに言われる。
佐野洋子さんの書く文章には、作家然とした
とりつくろってる部分はないし
変人的なものは感じられない。

離婚を経験し、子供を作家活動で育て上げた強さと
歯に衣着せぬ物言いが、むしろ無邪気にさえ感じられるほど。
簡単な事を難しく、修飾的に言うことを
きっとこの方は嫌ったに違いない。

漫画家のやまだ紫さんの本がうちに何冊かあるが、
やまださんの表現について、作家として「くやしい、ワタシも
こんなふうに書きたい」(記憶で書いてるので表現は曖昧です)
というくだり、佐野さんがそう思うのはすごく分かる気がした。

このお二人の世界には、共通点を感じるから。

生活に根ざした「世間」との関わりの部分、
それとはまた逆ともいえる
原始的な、動物としてのフリーダムな直感みたいなもので
世間の縛りをばっさり切り捨てる部分。
そういうのが女性特有の視点といえばそうなのかもしれない。

そのためか、
今までまったくそんなふうに思ったことは無かったが、
どうも男性読者が恐れる「女性作家」の位置づけのように
佐野洋子さんを表現している人が多々いることに今頃気付いた。
へー、そうだったのか。

とりあえず、喰わず嫌いをせず読んでみたらいいと思う。

でも、そこが男女の性差からくる視点の違いで
生活の中で常々感じるすれ違いの理由なのか?
逆に、性の違いで「世間」から求められる何かの典型について
あらためて考えてみるのにいいと思うのだ。
(あ、ワタクシフェミニストでも何でもありません)

佐野洋子さんのエッセイを読んだ当時は
「なんかすごい勢いのあるおばさん」と思ったが、
家庭を持ちある程度の年になった今では、
妙に共感できる部分があったりで(やばい)
「ふつうがえらい」というタイトルにうなずける。

でも、今は、その「ふつうでいること」
「ふつうに暮らすこと」が難しくなってきていると思うのだ。

それだから、佐野洋子さんの訃報が、いっそうしみた。
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